希少がん、小児がん、
AYA世代のがん患者(妊孕性温存療法を含む)や、がんゲノム医療については、高度でかつ専門的な治療が必要です。福岡県内でも対応できる医療機関は限られており、行き先を探すことも苦労なされる場合があります。
当院では、これらのがんに該当する患者さまを受け入れた場合、総合病院として各診療科で適切な対応を行います。その後、必要に応じて、医師をはじめ、がん相談支援センターや地域医療連携室のスタッフが一丸となり、患者さまに適した施設への調整を行い、連携する高度医療機関等へ紹介いたします。
また、当院のがん相談支援センター(1階受付横に設置)では、がん診療連携拠点病院の使命として、福岡県内での医療機関の紹介や相談等を無料で承っております。どのように病院や医師を見つけていくか、生活に関わる様々なこと等、何かわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
以下、それぞれのがんについて、特徴を解説いたします。
希少(きしょう)がんとは、人口10万人あたり6例未満の「まれ」な「がん」です。数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他に比べて大きいがん種の総称となっています。実際には、200種類近い悪性腫瘍が希少がんとして区分されています。
希少がんは、まれな病気であるためにデータの蓄積や個々の医療機関の経験値の蓄積が難しいとされています。そのため、希少がんについては、大学病院などの高度な病院に集約されて治療・研究が行われています。
個々の希少がんの対応病院について、以下のサイトより検索が可能となっています。
小児がんとは、15歳以下の子どもに発生する悪性腫瘍のことです。
主分類で12種類、小分類で47種類に分類される癌種で、約3分の1が白血病、残りが固形がんといわれる固まりを形成する「がん」です。
それぞれの病名は一般的なもので、白血病、リンパ腫、脳腫瘍には多くの種類があります。他の腫瘍も全身のあらゆるところで発生するため細かく分類され、治療法も、種類や場所、広がりによって、それぞれ異なります。
⼩児がんの症状に特別なものは、ほとんどないと言われています。⾵邪のような症状や痛みが続くといった⼀般的な理由で受診し、検査した結果、がんと診断されるケースも少なくありません。⼀⽅で、患者である⼦ども⾃⾝や家族が気づかないでがんと診断された場合でも、振り返ってよく考えると、以前から何らかの症状があったと思いあたることがあると言われています。
⼩児がんは急激に進⾏して症状があらわれる場合があります。重篤(病状が重いこと)な症状、長く続く症状、進⾏する症状がみられる場合には、必ず医療機関に相談してください。
◆ 小児がんについて:
がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)のページへ
◆ 小児がん拠点病院等の検索:
がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)の検索 ページへ
◆ 福岡県内における小児がん拠点病院:九州大学病院
◆ 福岡県内における地域の小児がん診療を行う連携病院:
久留米大学病院、産業医科大学病院、北九州市立八幡病院、九州がんセンター、福岡大学病院
AYA(アヤ)世代とは、Adolescent and Young
Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています。AYA世代は、ライフステージが大きく変化する世代であり、就学、就職、恋愛や結婚、妊娠や出産などAYA世代特有の悩みを抱えています。また、AYA世代がんは極めて稀であることから周りに相談できる人が少なく社会的に孤立してしまう問題もあります。以上のことから、AYA世代がん患者さん一人ひとりの悩みを聞いて、ニーズに合わせた支援が大切です。
日本では、年間、約2万人のAYA世代の方が、がんと診断されています。年代によって発症しやすいがんの種類が異なることが知られています。15歳から19歳では小児に好発する白血病、リンパ腫、骨軟部腫瘍、脳腫瘍といったいわゆる希少がんが多い一方で、これらのがんは20代では徐々に減少し、30代では特に女性の乳がん、子宮頸がんといったがんが多くなります。
AYA世代のがん治療は、治療そのもののみならず、就労環境、家庭環境等、様々な課題に対する支援も必要ですし、妊孕性温存の観点も治療法を選択する上でとても大切な視点です。
◆ 若くしてがんになったあなたへ:
一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会 のページへ
AYA世代の患者さまにとって、重要なことは妊孕性温存です。がん治療の中には、妊孕性に影響を及ぼすものがあり、将来子供を授かることが難しくなる可能性があります。妊娠や出産を希望される患者さまにとっては心配される問題の一つとなります。
妊孕性温存とは、がん治療による生殖機能低下の可能性があるAYA世代の患者さま・ご家族に対して、治療前に妊娠の可能性を残すために行う治療のことです。女性であれば、胚(受精卵)や卵子(受精前の卵=未受精卵)、卵巣組織、男性であれば、精子を凍結する方法が主な治療方法となります。
妊孕性温存は、ご自身のがん治療によって起こりうる生殖機能低下についての正確な情報を得ること、がん治療の前に行うことが大切です。
妊孕性温存に関する専門病院(日本産科婦人科学会 妊孕性温存療法実施医療機関)は、以下よりご参照いただけます。
なお、掲載情報は更新されることがあります。
◆ 日本産科婦人科学会 のページへ
私たちの体をつくる細胞は、遺伝子によってコントロールされています。
ゲノムは、遺伝子をはじめとする遺伝情報の全体を意味します。
がんゲノム医療とは、遺伝子情報に基づくがんの個別化治療の1つです。
主にがんの組織を使って多数の遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」によって、一人一人の遺伝子の変化や生まれ持った遺伝子の違い(遺伝子変異)を解析し、がんの性質を明らかにすることや、体質や病状に合わせた適切な治療を選択していく医療です。
現在、全国どこでもがんゲノム医療が受けられるようになることを目指して、体制づくりが進められています。
◆ がんゲノム医療について:
がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター のページへ
◆ がん遺伝子パネル検査について:
がんゲノム情報管理センター(国立研究開発法人国立がん研究センター)のページへ
◆ がんゲノム医療中核拠点病院等の検索:
がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センター)の検索 ページへ
◆ 福岡県内におけるがんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関:九州大学病院
◆ 福岡県内におけるがんゲノム医療を提供する機能を有する医療機関:九州がんセンター、久留米大学病院
神経ブロックとは、がんによる痛みを和らげるため、痛みのある部位に関連する神経を抑制または遮断する治療法のことです。
神経のまわりに針を刺して、そこから注射やカテーテル(細い管)を用いて局所麻酔薬や神経破壊薬を注入し、一時的または長期的に痛みを和らげます。
神経ブロックには、治療に応じていくつか種類があります。
当院では、局所麻酔薬投与を中心とした神経ブロックを提供できる準備を整えております。永久ブロックに関しましては、患者さまやご家族のご希望を踏まえ、より最善の方法で症状を緩和させるため、その専門の先生がいる病院へ紹介させていただいております。